2020.04.23
【コラム】IoT家電の変わり種4選!面白いIoT活用事例を紹介
IoTとは「Internet of Things(モノのインターネット)」の略称で、インターネット経由で伝達された内容をセンサーを使って動かす通信機能を持ったモノ(家電、スマートスピーカー、自動運転車など)を指します。本記事では、そんなひと味もふた味も違う面白い変わり種のIoT家電やIoT事業に必要な意識について、事例を交えながら紹介していきます。(2020年9月17日更新)
IoT(アイオーティー)とは「Internet of Things」の略称で、日本語ではよく「モノのインターネット」と翻訳されています。インターネット経由で伝達された内容をセンサーを使って動かす通信機能を持ったモノを指します。「モノ」とは広義の意味で、家電、スマートスピーカー、自動運転車などに対して使われます。
■IoTという言葉が普及しだしたのは?
IoTという言葉は1999年にイギリス人の技術者Kevin Ashton氏(ケビン・アシュトン氏、マサチューセッツ工科大学(MIT)の「MIT AUTO-ID LABORATORY」共同設立者)が初めて使った言葉と言われています。当初は、「RFID(Radio Frequency Identifier、専用タグに記録された情報を読み取る技術)の商品管理システム」をインターネットにたとえて、「IoT」という言葉を彼は使ってたようです。
IoTが実際に普及したのは2010年以降です。1999年頃はまだナローバンド回線世帯が多かったり、IoT技術に必要なセンサー系のパーツ部品も高かった時代でした。しかし、2010年頃からスマホやクラウド技術、高速回線(ブロードバンド)の浸透により、商品管理システムだけではなくてインターネットでモノを管理する環境全体のことを「IoT」と指すようになりました。
IoT(アイオーティー)家電というと、家電量販店に並ぶエアコンや照明といった、いわゆる家電製品のIoT化が注目されることが多いです。しかし昨今、IoT化の流れは家電製品に限らず、インターネットとは無縁だったモノもIoT家電化されている例も豊富になってきています。そんなIoT家電について、
『Perso』は、コスメメーカーのL’Oréal (ロレアル)が開発した、その人に最適なメイクアップアイテムを調合するIoT家電です。スマホで撮影した自分の顔に合わせて、ファンデーションやスキンケア、リップの成分や色味を調合してくれます。
また、インターネットから取得した天気や気温・湿度といった気象情報、シミやシワなどのお肌事情をAIで解析して、より最適な調合をしてくれるので非常に便利です。さらには、アプリからリップの色味を調整したり、SNSの最新トレンドの取り込んだりもできます。
Perso紹介動画
ジムでよく見るベンチプレスをIoT家電化したものが、『Higatrec』です。
Higatrecには、通常のマシンのバーにある重りが付いていない代わりに、バーの重さを制御する機能があります。
バーの重さは、最初にバーを持ち上げたときにトレーニング者の筋力を計測して、最適な不可を自動的にセットされます。さらに、バーを下ろすときに筋力の成長に効果的であるデータから、バーの上げ下げするたびに重さを自動的に変動するのです。
重りがないため変える手間もなくなりますし、落として怪我をする心配もありませんね。ジムはもちろん、学校の部活動で使うトレーニング施設、リハビリなどを行う医療施設での活躍が期待されています。
Higatrec紹介動画
『PillDrill』は、薬の飲み忘れを防止してくれるIoT家電です。
薬の服用時間になったらアラームでリマインド、さらに服用時間や薬の種類、その時の気分を記録して、スマホアプリで閲覧できます。
記録自体は、PillDrillハブへピルボトルや気分を表すモードキューブをかざしてスキャンするだけでOKなので、スマホを持っていない高齢者の方でも使いやすいでしょう。 PillDrillの仕組みとしては、RFIDが搭載されたピルボトルとモードキューブからハブがデータを取得、インターネット経由でクラウドへ自動的に記録される形です。 離れて暮らす家族はもちろん、医療機関での診療時、ヘルパーの定期訪問時などに活躍が期待できます。
PillDrill紹介動画
■まずは、寝具の西川とパナソニックが提供するIoT睡眠サポートの紹介です。
西川のセンサー内蔵マットレス(エアーコネクテッド SIマットレス)とネットワーク対応のパナソニック家電が連携する「快眠環境サポートサービス」は、一人ひとりにあったアドバイスを届けて毎日の睡眠をサポートするサービスです。
就寝中の微細な動きを専用マットレス上で検出して、寝返りなど上半身などの動きから睡眠時間や睡眠の状態を測定します。さらには、家電(エアコンや照明)を連携させることで寝室の環境(室温やエアコンの風向き、起床前に徐々に明るくなる照明)を整えます。同サービスは2020年3月18日から月額990円(税込)としてサブスクモデルで提供され、寝具などは別途購入が必要です。
サービス利用者はパナソニックが提供する専用アプリ「Your Sleep」を使って、睡眠深度や睡眠スコアを確認できます。睡眠スコアとは、睡眠時間や寝つくまでの時間、途中で覚醒した回数など6項目で評価したもので、西川が監修した睡眠の質を高めるためのアドバイスも参照できることが特徴です。
■KDDIのIoTマットレス?『まくらぼ × with HOME』
西川とパナソニックの寝具と同時期である2020年4月から提供された『まくらぼ × with HOME 』は、KDDIとFutontoがコラボして提供するIoTマットレスがあなたの睡眠状況を計測してくれるサービスです。使い方はとても簡単で、Futontoのマットレスを購入して、睡眠モニター01という専用デバイスを設置するだけとなっています。
睡眠時間や睡眠の深さ、睡眠時の体の動きといった睡眠データを計測して、スマホアプリ「Real Sleep」でチェックできます。睡眠データを分析して睡眠のスコアや一人一人に最適なアドバイス、起床しやすい眠りの浅いタイミングでアラームしてくれる機能もアプリで利用可能です。サービス利用料金は、月額790円(税別)とサブスクモデルとなっており、寝具などは別途購入が必要です。
上記2例のような睡眠サポートIoTサービスを継続利用することで睡眠の質改善へ大いに役立つでしょう。
一方で、自分の身近にあるものが常にインターネットにつながっているということはサイバーセキュリティ対策も考える必要があります。自宅に設定したホームカメラが乗っ取られたなどの被害報告もあるため、サービス提供事業主側から消費者が安心して利用できる環境を整えることが大切です。
■IoTは「Webサービス」の一環として考えるべき
IoT活用は急速に進んでいますが、効果を最大化するならIoTならではの課題を解決する必要もあります。たとえば、インフラ環境についてです。
2020年4月21日にシャープがコロナウイルスの関係から不織布マスクの販売をスタートしたところ、同日にシャープが提供しているIoT家電(エアコン、冷蔵庫、空気清浄機など)が、コントロール用のアプリにログインができなくなり完全に機能しなくなってしまった事例が挙げられます。
この原因はIoT家電自体ではなく、マスクを求めるユーザーがECサイトへユーザーが殺到して、アクセス集中によってシャープのサーバーがパンクしたことが原因でした。コロナ禍で手に入りづらい「マスク」をシャープが自社ECサイト(COCORO STORE)で販売したことにより、マスクを求める人の予想を上回るアクセスが集中して、サーバーのファイヤーウォールがDDoS攻撃と誤認して、セキュリティシステムが自動で働き、サーバーへのアクセスを遮断してしまったようです。
シャープの「ECサイトの個人認証用(COCORO MEMBERS)」と「IoT家電操作用のアプリの個人認証用(COCORO+)」が同じ個人認証サーバーを使用していたためIoT家電にも思わぬ影響が出たとされています。
この事例から、企業がIoT家電を検討していく時にはハードウェアだけではなく、サーバーやネットワークインフラと言ったWebサービスに近い部分の構成や保守体制、バックアップ体制が求められる事が改めて浮き彫りになりました。
IoT家電は、ネットワークで繫がっている事が前提のサービスとなる為、従来のスタンドアローンの製品よりも広範な領域をケアしなければならないのです。加えて、IoT化により家電の使い方がより複雑化、従来以上にわかりやすい使い方ガイドやマニュアルの充実、そしてWebサイトのページでの動画などを活用した丁寧な解説も必要となります。また、顧客からの質問やクレームも複合的なものが増えるため、問い合わせ窓口やサポート体制の強化も重要でしょう。これら全てを踏まえたCS体験の変革こそが、
IoTの活用事例は、一般的な家電製品はもちろんですが、家電の領域を超えた全く別のモノ(自動運転車、物流、不動産など)まで幅広い領域に進んでいます。
IoTは、従来は対応できなかった顧客ニーズへ答える1つの有用な技術であり、サブスクモデルなど新たなWebサービスを創出するチャンスです。モノ売りから脱却して、コト売りによる事業継続性を目指したいのであれば、さまざまな事例を参考に検討を進めてみても良いでしょう。
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