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サステナビリティとは?企業のメリット・取り組み方・効果的な発信戦略を徹底解説 サステナビリティとは?企業のメリット・取り組み方・効果的な発信戦略を徹底解説
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2025.04.10

サステナビリティとは?企業のメリット・取り組み方・効果的な発信戦略を徹底解説

サステナビリティの基本からSDGs・ESGとの違い、企業が取り組むメリット、具体的な始め方、情報発信戦略まで解説。企業価値向上と持続可能な社会貢献の両立を目指すヒントを提供します。

#サイトリニューアル#DX#サステナビリティ

目次

  1. 1. はじめに:なぜ今、サステナビリティなのか? >>
  2. 2. サステナビリティとは? 基本的な概念を理解する >>
  3. 3. 【図解】サステナビリティ関連用語との違い (SDGs・ESG・CSR・CSV) >>
  4. 4. コーポレート・サステナビリティとは?企業経営における重要性 >>
  5. 5. 企業がサステナビリティに取り組む5つのメリット >>
  6. 6. サステナビリティ経営へ!具体的な取り組み4ステップ >>
  7. 7. 企業価値を高める!サステナビリティ情報の発信戦略 >>
  8. 8. まとめ >>

近年、「サステナビリティ(Sustainability)」や「サステナブル」という言葉を耳にする機会が急激に増えました。背景には、気候変動、資源枯渇、生物多様性の損失、貧困や格差の拡大といった、地球規模の課題が深刻化していることがあります。これらの課題は、私たちの社会や経済活動の基盤そのものを揺るがしかねません。
こうした状況を受け、将来世代の可能性を損なうことなく、現代世代のニーズを満たす社会、すなわち「持続可能な社会」の実現に向けた動きが世界的に加速しています。企業もまた、社会の一員として、この課題解決に貢献することが強く求められるようになりました。
本記事では、「サステナビリティとは何か?」という基本的な問いから、企業が取り組むことの重要性やメリット、具体的な推進ステップ、そしてその取り組みを効果的に発信し企業価値を高める方法まで、網羅的に解説します。

サステナビリティの定義と3つの側面(環境・社会・経済)

サステナビリティとは、直訳すると「持続可能性」を意味します。広く知られているのは、1987年に国連の「環境と開発に関する世界委員会(WCED)」が報告書『Our Common Future』で提唱した定義で、「将来の世代が彼らのニーズを満たす能力を損なうことなく、現在の世代のニーズを満たすこと」(出典:環境省「平成29年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」より)とされています。

つまり、地球環境や社会システムを長期的に維持し、将来世代も安心して暮らせる社会を目指す考え方です。サステナビリティは、一般的に以下の3つの側面から成り立っていると考えられています。

  • 環境の持続可能性
  • 地球温暖化対策、再生可能エネルギーの利用、資源の効率的な利用、廃棄物削減、生物多様性の保全など、地球環境を守り、次世代に豊かな自然を引き継ぐこと。

  • 社会の持続可能性
  • 人権の尊重、労働環境の改善、ダイバーシティ&インクルージョン、貧困や格差の是正、地域社会への貢献など、誰もが公正で安心して暮らせる社会を築くこと。

  • 経済の持続可能性
  • 環境・社会課題に配慮しつつ、長期的に安定した経済成長を実現すること。短期的な利益追求だけでなく、社会全体の持続可能性に貢献する経済システムを目指すこと。

    この3つの側面は相互に関連しており、バランスを取りながら統合的に取り組むことが、真のサステナビリティ実現には不可欠です。

    なぜサステナビリティが重要なのか?

    地球規模の課題が顕在化する中で、企業がサステナビリティを無視することは、もはや経営上のリスクとなり得ます。


  • 規制強化
  • 環境規制(炭素税導入、排出量取引制度など)や人権デューデリジェンスの法制化が進み、対応できない企業は事業継続が困難になる可能性があります。

  • 市場の変化
  • 環境や社会に配慮した製品・サービスを求める消費者が増加(エシカル消費)。SDGsやESGを重視する投資家(ESG投資)も増え、資金調達にも影響を与えます。

  • サプライチェーンリスク
  • サプライヤーにおける環境破壊や人権侵害が発覚した場合、自社のブランドイメージ失墜や不買運動につながるリスクがあります。

  • 人材獲得
  • 企業の社会貢献意識や働きがいを重視する求職者が増えており、サステナビリティへの取り組みは優秀な人材の獲得・定着にも影響します。

    これらのリスクに対応するだけでなく、サステナビリティへの取り組みは、新たな事業機会の創出や企業価値向上にもつながる「攻めの経営戦略」としても重要性を増しています。

    サステナビリティと共によく使われる言葉に、SDGs、ESG、CSR、CSVがあります。これらはサステナビリティという大きな概念を実現するための具体的な目標や考え方、評価軸と捉えると理解しやすいでしょう。



    SDGs:サステナビリティ達成のための「目標」

    SDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された、2030年までに達成を目指す国際目標です。「誰一人取り残さない」社会の実現を掲げ、貧困、飢餓、健康、教育、ジェンダー、気候変動など17のゴールと169のターゲットで構成されています。SDGsは、サステナビリティを実現するための具体的な行動目標であり、世界中の国、自治体、企業、そして個人の取り組みを後押ししています。

    ESG:企業のサステナビリティを評価する「指標」

    ESGとは、企業経営における、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の3つの要素の頭文字を取ったものです。


  • 環境 (E)
  • 気候変動対策、CO2排出量削減、再生可能エネルギー利用、水資源管理など

  • 社会 (S)
  • 労働環境、人権尊重、ダイバーシティ、サプライチェーン管理、地域貢献など

  • ガバナンス (G)
  • 経営の透明性、法令遵守、リスク管理、情報開示、取締役会の構成など

    ESGは、主に投資家が企業の長期的な成長性やリスクを評価する際に用いる「非財務情報」の指標として広まりました。企業のサステナビリティへの取り組みを可視化し、評価するための枠組みと言えます。

    CSR:企業が果たすべき「責任」

    CSR(Corporate Social Responsibility)は、「企業の社会的責任」と訳されます。企業が社会の一員として、法令遵守や倫理的な行動はもちろん、環境保護、人権擁護、地域貢献など、ステークホルダー(利害関係者)に対して責任ある行動をとるべきという考え方です。CSRは、企業の持続可能性を支える基盤であり、社会からの信頼を得るための基本的な取り組みと言えます。


    CSV:社会課題解決と利益を両立させる「価値創造」

    CSV(Creating Shared Value)は、「共通価値の創造」を意味します。企業の事業活動を通じて社会的な課題(環境問題、健康問題など)を解決し、それによって経済的な利益(競争力向上、市場拡大など)も同時に生み出すという経営戦略です。社会貢献活動をコストと捉えがちな従来のCSRとは異なり、社会課題解決をビジネスチャンスと捉え、本業を通じて社会と企業の双方に価値をもたらすことを目指します。

    コーポレート・サステナビリティとは、企業が長期的な視点に立ち、環境・社会・経済の持続可能性に配慮しながら事業活動を行い、社会への責任を果たしつつ、自社の持続的な成長を目指す経営のあり方です。


    従来の経営との違い:短期利益から長期視点へ

    従来の企業経営は、株主利益の最大化や短期的な業績向上を主な目的とすることが一般的でした。しかし、コーポレート・サステナビリティでは、株主だけでなく、従業員、顧客、取引先、地域社会、そして地球環境といった多様なステークホルダーとの関係性を重視し、短期的な利益と長期的な企業価値・社会価値の向上を両立させることを目指します。


    企業が取り組むべき5つの要素

    コーポレート・サステナビリティを推進するためには、主に以下の要素が重要とされています。


  • 長期的な視点での経営戦略
  • 目先の利益だけでなく、数十年先を見据えた事業計画や目標を設定する。

  • ステークホルダー・エンゲージメント
  • 株主、従業員、顧客、地域社会など、様々なステークホルダーと対話し、ニーズや期待を把握し経営に反映させる。

  • リスクと機会の特定と管理
  • 気候変動による物理的リスクや規制リスク、人権問題などの社会リスクを認識し、対応策を講じる。同時に、サステナビリティを新たな事業機会(再生可能エネルギー導入、サステナブル製品開発など)と捉える。

  • イノベーションの推進
  • 持続可能な社会の実現に貢献する新しい技術、製品、サービス、ビジネスモデルを創出する。

  • 透明性の高い情報開示
  • サステナビリティに関する方針、目標、取り組み、成果などを積極的に開示し、ステークホルダーからの信頼を得る。

    サステナビリティへの取り組みは、社会貢献という側面だけでなく、企業経営に多くの具体的なメリットをもたらします。


    メリット1:企業イメージ・ブランド価値の向上

    環境問題や社会課題への意識が高い消費者は年々増加しており、特にミレニアル世代やZ世代はその傾向が顕著です。サステナビリティに積極的に取り組む姿勢を示すことは、社会的に責任ある企業としての評価を高め、製品やサービスへの信頼、ブランドイメージ向上につながります。 例えば、環境負荷の少ない素材を使った製品開発や、地域貢献活動への積極的な参加などが、ポジティブな企業イメージ形成に寄与します。


    メリット2:投資家や金融機関からの評価向上 (ESG投資の拡大)

    世界の投資潮流として、企業の財務情報だけでなく、ESG(環境・社会・ガバナンス)への取り組みを重視するESG投資が急速に拡大しています。サステナビリティ経営を実践し、ESG評価の高い企業は、投資家から「長期的かつ持続的に成長する企業」と評価され、資金調達が有利になる可能性があります。金融機関もまた、融資判断において企業のサステナビリティへの取り組みを考慮するケースが増えています。


    メリット3:リスクマネジメントと事業継続性の強化

    気候変動による自然災害の激甚化、資源価格の高騰、人権問題によるサプライチェーンの混乱、環境規制の強化など、企業を取り巻くリスクは多様化・複雑化しています。サステナビリティの視点を取り入れた経営は、これらのリスクを事前に特定し、備えることにつながります。 例えば、省エネルギー化や再生可能エネルギー導入は、エネルギーコストの変動リスクや将来的な炭素税導入リスクを低減します。サプライチェーン全体での人権デューデリジェンス実施は、人権侵害によるレピュテーションリスクを回避します。


    メリット4:新たなビジネスチャンスの創出

    社会課題や環境問題を解決するための技術やサービスには、大きな市場潜在力があります。サステナビリティを起点に考えることで、新たなイノベーションやビジネスモデルが生まれる可能性があります。 例えば、廃棄物削減やリサイクル技術の開発、再生可能エネルギー関連事業、持続可能な原材料調達による新商品開発、健康増進サービスの提供などが挙げられます。社会課題解決を事業成長のエンジンと捉えるCSV(共通価値の創造)の考え方が重要になります。


    メリット5:従業員のエンゲージメントと人材獲得力の向上

    自社が社会貢献性の高い事業を行っている、倫理的で公正な経営を行っていると感じることは、従業員の仕事に対する誇りやモチベーション(エンゲージメント)を高めます。働きがいのある環境を提供することは、生産性向上や離職率低下にもつながります。 また、就職活動において企業の社会的な姿勢を重視する学生や求職者も増えています。サステナビリティへの積極的な取り組みは、優秀な人材を引きつけ、採用競争力を高める上でも有効です。

    サステナビリティ経営を効果的に進めるためには、計画的なアプローチが重要です。ここでは、基本的な4つのステップを紹介します。


    Step1:現状把握と課題の特定

    まず、自社の事業活動が環境・社会・経済にどのような影響(ポジティブ/ネガティブ)を与えているかを分析・評価します。


  • 環境側面
  • CO2排出量、エネルギー消費量、水使用量、廃棄物排出量、使用資源の種類と量などを把握。

  • 社会側面
  • 従業員の労働時間、賃金水準、安全衛生状況、ダイバーシティ比率、サプライヤーの人権リスク評価、地域社会への貢献度などを把握。

  • 経済側面
  • ESG投資家からの評価、サステナブル市場での競争力、環境・社会配慮型製品/サービスの売上比率などを分析。

    これらの分析を通じて、自社にとって重要度の高いサステナビリティ課題(マテリアリティ)を特定します。ステークホルダー(従業員、顧客、取引先、株主など)へのヒアリングやアンケートも有効です。


    Step2:目標設定と実行計画の策定 (KPI設定例)

    特定した重要課題に対し、具体的で測定可能な目標(KPI:重要業績評価指標)を設定し、達成に向けた実行計画を策定します。目標設定にあたっては、SDGsやパリ協定などの国際的な目標や、業界標準などを参考にすると良いでしょう。


  • 目標設定例
  • 「2030年までにScope1,2のCO2排出量をXX%削減する(2025年比)」
    「2028年までに再生可能エネルギー利用率をXX%にする」
    「2027年までに女性管理職比率をXX%にする」
    「サプライヤー行動規範の遵守状況監査を年X回実施する」

  • 実行計画
  • 目標達成のための具体的な施策、担当部署、スケジュール、必要な予算などを明確にします。

    Step3:具体的なアクションの実行と部門連携

    策定した計画に基づき、具体的な取り組みを実行に移します。サステナビリティへの取り組みは、特定の部署だけでなく、全社的な協力体制が不可欠です。経営層のコミットメントのもと、各部門が連携して取り組むことが成功の鍵となります。


    【取り組み例】


  • 環境
  • 省エネ設備の導入、再生可能エネルギーへの切り替え、3R(リデュース・リユース・リサイクル)の推進、サプライチェーンでの環境負荷低減協力

  • 社会
  • 働き方改革(長時間労働是正、柔軟な勤務形態)、ダイバーシティ研修の実施、人権デューデリジェンスの導入、地域清掃活動への参加、NPO/NGOとの連携

  • 経済
  • サステナブル製品・サービスの開発、ESG情報開示の強化、倫理的な調達方針の策定

    Step4:効果測定・情報開示・改善 (PDCA)

    設定したKPIに基づき、取り組みの進捗状況や効果を定期的に測定・評価します。その結果を分析し、計画やアクションの改善につなげるPDCAサイクルを回すことが重要です。 また、取り組みの状況や成果は、サステナビリティレポートや統合報告書、ウェブサイトなどを通じて、ステークホルダーに対して透明性をもって情報開示することが求められます。これにより、社会からの信頼を得るとともに、さらなる改善へのフィードバックを得ることができます。

    サステナビリティへの取り組みは、実行するだけでなく、その内容を効果的に発信することで、ステークホルダーからの評価を高め、企業価値向上につなげることができます。


    情報開示の重要性:透明性と信頼性の向上

    サステナビリティに関する情報開示は、企業の透明性を高め、投資家、顧客、従業員、地域社会といったステークホルダーからの信頼を得るために不可欠です。自社の取り組み状況、成果、そして今後の課題などを誠実に伝える姿勢が求められます。近年、TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)提言に基づく気候変動関連情報や、人権に関する情報開示の要請も高まっています。


    効果的な情報発信チャネル

    企業の状況やターゲット層に合わせて、様々なチャネルを活用して情報を発信します。


  • サステナビリティレポート/統合報告書
  • 網羅的かつ詳細な情報をまとめた報告書。投資家や評価機関向けに重要。

  • 自社のWebサイト
  • サステナビリティに関する専用ページを設け、方針、取り組み、最新ニュースなどを分かりやすく掲載。

  • プレスリリース
  • 新たな目標設定や画期的な取り組みの成果などを発表。

  • SNS (X, Facebook, LinkedInなど)
  • 日々の活動やイベント情報などを、よりタイムリーかつ広範な層に発信。従業員の声を届けるなど、親近感を醸成しやすい。

  • 会社案内、製品カタログ
  • 企業の姿勢や製品のサステナビリティ要素をアピール。

  • 株主総会、投資家向け説明会
  • 投資家との直接的な対話の場。

    伝わる発信の3つのポイント

    情報をただ羅列するのではなく、「伝わる」発信を心がけることが重要です。


  • ポイント1:具体性とデータ
  • 「環境に配慮しています」といった抽象的な表現ではなく、「CO2排出量をXX%削減しました」「再生可能エネルギー比率がXX%になりました」など、具体的な活動内容や数値データを用いて客観的に示します。

  • ポイント2:ストーリー性
  • なぜその取り組みを始めたのか、どのような困難があったのか、どのような成果や変化が生まれたのか、といったストーリーを語ることで、読者の共感を呼び、印象に残りやすくなります。従業員のインタビューなども有効です。

  • ポイント3:ターゲットを意識した分かりやすさ
  • 専門用語を多用せず、図やグラフ、インフォグラフィックなどを活用し、誰にでも理解しやすい表現を心がけます。発信するチャネルや対象者(投資家向け、消費者向けなど)に合わせて、情報の粒度や伝え方を調整します。

    ステークホルダー・エンゲージメントの推進

    情報発信は一方的な伝達に留まらず、ステークホルダーとの双方向のコミュニケーション(エンゲージメント)の機会と捉えることが重要です。説明会や意見交換会、アンケート調査などを通じて、ステークホルダーの声に耳を傾け、期待や懸念を把握し、経営や情報開示の改善に活かしていく姿勢が、長期的な信頼関係の構築につながります。

    サステナビリティは、もはや単なる社会貢献活動ではなく、企業の持続的な成長と競争力強化に不可欠な経営戦略です。環境・社会課題への対応は、リスク管理であると同時に、イノベーションを促進し、新たな事業機会を生み出す可能性を秘めています。企業がサステナビリティに取り組むことは、短期的なコストがかかる側面もありますが、長期的に見れば、企業価値の向上、社会からの信頼獲得、そしてより良い未来への貢献につながる重要な「投資」と言えるでしょう。

    本記事で解説した内容が、貴社のサステナビリティ経営推進の一助となれば幸いです。

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